◆プログラム:
14:00~14:10 開会の辞
14:10~15:50 第1セッション:日韓関係の現状診断
16:10~17:50 第2セッション:日韓協力の可能性模索
17:50 閉会の辞
◆実施報告:
第1セッションでは「日韓関係の現状診断」をテーマに、延世大学のキム・ミョンソプとキム・ソンホが発表を行った。キム・ミョンソプは1965年の日韓基本条約体制を歴史・政治的な観点から分析した。周辺諸国の変化とともに、過去とは異なる国際秩序と国際法的な観点が1965年体制危機の原因となっていると指摘し、これを克服するために「未来のための合意体制」を導き出す必要があると主張した。続いて、キム・ソンホ教授は、最近韓国の「司法積極主義」の原因について、日本では韓国司法のポピュリズム化にあると分析しているが、むしろ、韓国司法はエリート主義に基盤していて、重要な原因は司法の民主化にあると主張した。したがって、韓国の司法積極主義の原因は民主化の制度化にあるという点、そして、世界的な傾向として司法の役割拡大があるだけに、日本がむしろ司法消極主義の傾向が強い点を認識する必要があると主張した。また、司法を理由に外交問題の解決に積極的ではない両国政府に責任があると指摘した。
第2セッションでは「日韓協力の可能性模索」をテーマとして、日韓各々の外交の観点から日韓協力の課題と展望について議論が行われた。日本外交の観点から慶應義塾大学の添谷教授は、過去の日韓関係は政府間関係の悪化が学界や民間関係の悪影響を及ぼしたが、現在は政府間関係が悪化している現状にもかかわらず、学界と民間での関係改善の努力があるという点から、根本的な関係は損なわれていないと指摘し、中長期的な観点から両国関係はさらに悪化する可能性は低いと主張した。ただし、現在、輸出規制に関する問題があるので、悪化している関係は短期的には続くと主張した。続いて、延世大学のキム・ギジョン教授は、韓国外交の観点から、政府間関係が両国関係において大きな部分を占めているが、独占はしていない点を指摘しながら、政府間関係ではなく、その他の民間関係、公共外交を両国関係に及ぼす要因として分析した。そこで、日韓関係は複合的に動きながら前進と後退を繰り返したので、前進するための力を講ずるこれからの努力が重要であると強調した。
*センターによる整理