◆報 告:
朴泰均(ソウル大学) 「朝鮮半島平和体制と韓国の中立化方案」
宋枝燕(ソウル大学) 「朝鮮半島平和体制と日韓の経済協力方案」
辛星昊(ソウル大学) 「朝鮮半島平和体制と米韓同盟の転換」
◆司会・討論: 西野 純也(慶應義塾大学)
◆実施報告:
初めに「朝鮮半島平和体制と韓国の中立化方案」をテーマとして、朴泰均教授が発表を行った。1950年代朝鮮半島中立化が言及された事例を説明しながら、永世中立の条件として国内的宣言と周辺諸国との条約を挙げた。そして、成功事例としてオスとリアとスウェーデンを、失敗事例としてベルギー、ルクセンブルク、ラオスを挙げた。また、可能条件として韓国の強力な国防力、経済力、周辺諸国の政策を、難しい条件として韓国内部のコンセンサス、日本との関係、分断状況を言及した。最後に、在韓米軍の撤退と国連軍司令部を解体する平和協定の締結よりも、周辺諸国による安全保障を担保できる永世中立が実現可能性が相対的に高いと主張した。
次に「朝鮮半島平和体制と日韓の経済協力方案」をテーマとして、宋枝燕教授が発表した。発表では、南北各々が主張する朝鮮半島平和体制の意味、そして、平和体制構築のための観光の努力及び韓国と日本の対北朝鮮経済協力についても説明した。特に、平和体制実現のための経済協力について、北朝鮮の対中国経済依存を改善し、長期的な成長を導き出すことと、韓国政府の新経済構想における日韓経済協力の重要性も主張された。
最後に「朝鮮半島平和体制と米韓同盟の転換」をテーマとして、辛星昊が発表した。発表では、平和体制の定着条件として終戦宣言から平和体制の定着と南北関係の正常化につながるプロセスにおける朝鮮戦争に対する処理、米朝・日朝関係の正常化、朝鮮半島内部における米中競争の安定化が指摘された。そして、平和体制定着後の米韓同盟の変化についても言及された。そして、平和体制定着後もアメリカによる核の傘は提供されるが、米中関係の変化による複雑化の可能性が指摘された。なお、北朝鮮が主張する国連軍司令部の解体もアメリカが国連軍司令部の機能強化を推進しているので、さらなる対立の可能性があると主張された。
*センターによる整理