◆プログラム
現代韓国研究センター開所10周年を記念する公開シンポジウ ム「北東アジアの新しい秩序構想」が、2月9日(土)に三田 キャンパス北館ホールにて開催された。同センターは2009年の 開所以来、日本における朝鮮半島研究の拠点形成、日韓間にお ける学術研究交流のための知的コミュニティー形成、という目 標を掲げ、持続的かつ積極的に研究プロジェクトやシンポジウ ムを行ってきた。
当日は、西野純也同センター長の挨拶、長谷山彰塾長および 姜栄必韓国国際交流財団企画理事の祝辞に続き、第1セッショ ンでは文正仁韓国大統領特別補佐官の基調報告が行われた。文 補佐官は、朝鮮半島の平和体制と非核化に関して、冒頭に平和 構築の方法を国際政治の理論を用いて説明し、対北朝鮮政策を 含む朝鮮半島の平和体制構築のための文在寅政権の構想と理論 的根拠を明確に提示した。また、第2回米朝首脳会談について、 非核化に向けたロードマップを作成することが何より重要であ るということを強調した。第2セッションは、非核化と平和構 築のプロセスに対する評価と日本の役割についてパネルディス カッション形式で進められた。第3セッションでは北東アジア の安全保障の現状と展望について、競争が常態化した米中関係 が朝鮮半島に与える影響を中心に議論が展開された。そのよう な状況下での日韓の戦略的協力が必要であることが強調された 一方、日韓の戦略認識には違いがあるとの指摘もなされた。第 4セッションでは、現在直面する日韓両政府間の懸案に対する 方策について論じ、これからの日韓関係を展望した。
以上のように、本シンポジウムは、日韓の専門家たちによる 現在の朝鮮半島情勢に関する分析と評価、さらには白熱した討 論が実現し、会場は熱気に包まれた。特に、北朝鮮の非核化と 朝鮮半島の平和体制、そして新しい日韓関係の構築に関する真 摯な議論が聴衆を惹きつけた。あいにくの降雪にもかかわら ず、会場には約170名を超える聴衆が集まり、シンポジウムは 盛況のうちに終了した。
*センターによる整理