2016.06.17朝鮮半島研究センターとは

東アジア研究所内に現代韓国研究センターが設置されました。韓国国際交流財団、国際交流基金(日本)その他から財政支援を受けて、研究プロジェクトの企画、運営を中心とする国内有数の研究拠点の形成を目指しています。従来の研究と差別化するために、プロジェクトのテーマとしては、政治・外交、経済・経営、社会・文化、国際関係など、社会科学分野を中心とする現代的な課題を想定しております。

センターの目的は、第一義的には慶應義塾内の韓国朝鮮研究を振興して、それを教育に反映させることですが、われわれは従来型の拠点ではなく、国際的な学術交流と研究協力のためのネットワーク型拠点の形成を目指しています。ネットワークであれば、それは国内外に広く開放されるからです。また、社会貢献の観点から、定例セミナーや講演会、外部団体との共催研究会の開催などを企画します。これらは地域研究センター以来の伝統でもあります。

そもそも創立以来、慶應義塾は韓国からの留学生を積極的に受け入れるなど、朝鮮半島との知的交流に深くかかわってきました。例えば、福澤先生は1881年には朝鮮初の海外派遣国費留学生とされる兪吉濬を慶應義塾に受け入れ、その翌年には高弟の井上角五郎を韓国に派遣いたしました。最近では、創立125年事業の一環として、1984年に地域研究センターが設置され、日本における地域研究をリードしてまいりました。本センターは、二年前に設置された現代中国研究センターとともに、慶應義塾の東アジア研究の一翼を担おうとするものです。

そのような高い志を胸に秘めて、2月5日に、三田キャンパスでセンター開所記念シンポジウム「変革期の北東アジアと日韓関係」を開催しました。日韓両国から多数の研究者、実務家、ジャーナリストなどが集合して、北朝鮮の非核化、国際金融危機への対応、日韓関係・交流のあり方などについて活発に議論を交わし、250名を超える聴衆とその成果を共有しました。

初年度研究プロジェクトとしては、(1)北朝鮮問題などの地域安全保障、(2)非正規職労働や高齢化問題を取り上げて、日韓共同研究プロジェクトをスタートさせました。双方からの新進気鋭の研究者が参加して、共同研究を進めてまいります。多くの方々のご支援とご協力をいただきながら、上記の目標達成のために最大限の努力を傾けます。

 

※『塾』2009 SUMMER(No.263)より